語学スクールの中途解約と返金の上限
本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。
2か月を超え、かつ5万円を超える語学の教授に当たる契約が対象です。途中でやめるとき、事業者が請求できる額には上限があります。レッスン開始前は1万5千円、開始後は5万円か未受講分の20%の低いほうです。受講済み分の対価は別に精算します。
レッスンが始まる前に解除した
- 上限は一万五千円
- 契約の締結と履行にかかる費用として決まっている額
- 受けたレッスンが無いので、対価の精算は起きない
レッスンが始まったあとに解除した
- 上限は五万円又は契約残額の百分の二十に相当する額のいずれか低い額
- これに加えて、すでに受けたレッスンの対価は払う
- 契約残額はまだ受けていない分の代金
レッスンが始まっているかどうかで、上限の決まり方そのものが変わる
契約の形によって適用が変わるため、まず契約したときに渡される契約書面を確認してください。売り方ごとの条件も分けて整理しています。
事業者が請求できる額には上限がある
契約書に違約金の額が書いてあっても、事業者は法律の上限を超えて請求できません。違約金の欄を読んで諦める必要はなく、その額が上限を超えていないかを確かめます。
根拠は特定商取引法49条2項です。
特定商取引法49条2項を開く
役務提供事業者は、前項の規定により特定継続的役務提供契約が解除されたときは、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を特定継続的役務の提供を受ける者に対して請求することができない。
読むべきは「損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても」の部分です。
開始前と開始後で、上限の決まり方が違う
語学の教授では、レッスンが始まる前の上限は1万5千円です。始まったあとは、5万円か契約残額(まだ受けていない分の代金)の20%の低いほうです。
49条2項は、どちらの額も政令に預けています。
実額は特定商取引に関する法律施行令の別表第四にあります。語学の教授(三の項)の第三欄、つまり提供開始後の額はこうです。
五万円又は契約残額の百分の二十に相当する額のいずれか低い額
第四欄、つまり提供開始前の額はこれだけです。
一万五千円
開始後の上限が「五万円又は契約残額の百分の二十に相当する額のいずれか低い額」なので、契約残額が25万円を超えると5万円で頭打ちになります。 20%のほうが5万円に達するのが25万円だからです。
数えてみる
1年ぶん24万円のコースを申し込み、4分の1を受けた時点で解除したとします。
解除の時点で何が確定しているか事業者に払う額
すでに受けたレッスンの対価
6万円
24万円の4分の1。すでに提供された分の対価として払う
契約残額
18万円
まだ受けていない4分の3。この20%は3万6千円
解除にともなう上限
3万6千円
5万円と3万6千円の低いほう。契約残額が25万円以下なので20%のほうが低くなる
払う合計の上限
9万6千円
6万円と3万6千円の合計。24万円との差の14万4千円が返る計算になる
この計算は上限の話で、事業者がここまで請求するとは限りません。返ってくる額が上の計算より少ないときに、条文を根拠に聞けるという使い方をします。
条文どおりの上限を、申し込む前に読めることがある
この上限は、事業者が自分のサイトに書いていることがあります。書いてあれば、契約書面を受け取る前に読めます。
スパルタ英会話の特定商取引法に関する表記は、まず適用そのものを名指ししています。
当社における英会話講座に関する契約は、特定商取引に関する法律(以下「特商法」といいます。)における「特定継続的役務提供」にあたります(特商法41条1項1号)。
そのうえで、開講日の前日までに解約する場合を「手数料 1万5000円」とし、開講日以後についてはこう書いています。
イ 解約手数料として、5万円又は未受講分の学費(支払済み学費÷授業回数×未受講回数)の20%に相当する額のいずれか低い額
別表第四の三の項と同じ額です。契約残額を「未受講分の学費」と言い換えたうえで、その割り方まで出しています。ここまで出ていれば、上の計算を申し込む前に自分で当てられます。
逆に、やめるときの条件が「詳しくは契約書に記載します」で止まっているなら、上限は条文の側から読むことになります。書いていないことは、上限が無いことではありません。
ただしこのスクールの表記には、事業者の氏名・住所・電話番号が載っていません。会社概要に会社名・住所・代表取締役はありますが、電話番号は見た範囲では見つかりません。料金も留学の費用は誰に払うかで分けるで扱った11条の形では出ていません。
同じページの中でも、書かれている項目と書かれていない項目があります。解除の条件と連絡先は、両方を見ます。
精算の式を、申し込む前のページに出していない例
入学金を別に書いている例として、MeRISE英会話があります。入学金は税込33,000円で、推奨の教材を使うなら教材費が別にかかります。
ただ、一括プランを中途解約したときの精算については、次の一文にとどまっています。
その他、中途解約をご希望の場合は概要書面および契約書面をご確認下さい。
上限の式そのものは、申し込む前に見えるページには出ていません。申し込む前に渡される概要書面(契約の中身をまとめた書面)などを出してもらい、式を読んでから決めてください。月額プランは別の条件で、更新日の1か月前までに所定の退会手続きを申請します。初回が4月1日で7月1日に退会したい場合、公式の期限例は6月1日です。
スパルタ英会話の費用は、公式料金ページの受講料に、別途入会金55,000円(税込)を足して比べます。1か月受講の金額は表にないため、希望コースの見積もりを確認してください(料金のみ2026年10月19日確認)。
入学金や教材費は、この計算の外にあることがある
上の計算はレッスンの対価だけを見ています。入学金・教材費・テキスト代の扱いは、契約の書き方で変わります。
教材が関連商品(語学の教授では書籍や、音や影像を記録した物)にあたる場合は、48条2項で解除の対象になります。そこは大人の英会話教室で買う教材はどこまで戻るかにまとめました。あたらない場合は、その代金がレッスンの対価に含まれているのか、別に払ったものなのかで扱いが分かれます。
だから解除を申し出る前に、契約書面で次を分けて読みます。
- レッスンの対価がいくらか
- 入学金・教材費がいくらで、どちらに入っているか
- すでに受けたレッスンが何回ぶんか
この3つが分かれば、上の計算がそのまま当てられます。
8日を数え始める日は、書面を受け取った日
49条1項は、中途解約ができるのを「第四十二条第二項の書面を受領した日から起算して八日を経過した後」としています。つまり8日の数え始めは、申し込んだ日でも、レッスンが始まった日でもありません。契約書面を受け取った日です。
書面を受け取っていなければ起算が始まらないので、申し込みから何か月たっていてもクーリング・オフの期間の中にいます。記載が足りない書面も、法律が求めた書面として足りていません。日付が過ぎているように見えても、先に書面の中身を見ます。
渡航してから8日以内だと気づいた場合は、出し方と効力の生じ方が別に決まっています。留学のクーリングオフは渡航後でも出せるに分けて書きました。
上限を超える請求をされたときは
事業者が上限を超えた額を請求してきた場合、49条2項が「請求することができない」と書いているので、超えた部分は払う義務がありません。
やりとりが噛み合わないときの相談先は、消費者ホットライン 188 です。契約書面と、支払った額の分かるものを手元に置いてから電話します。
同じ契約書が多数に使われているなら、止めさせる道もある(58条の22第2項)
不特定かつ多数の人と同じ契約書で契約している事業者には、適格消費者団体がその契約書を使うのをやめるよう請求できます。対象は48条8項の特約と49条7項の特約で、この記事が扱ってきた上限や権利を契約書で狭める形の定めです。
読者本人ができるのは、そういう契約書があることを消費生活センターに伝えるところまでです。それでも、自分の返金とは別に意味があります。
なお、勧誘のときに事実でないことを告げられていた場合は、この計算とは別の道が残っています。上限額を差し引く形ではなく、申込みの意思表示そのものを取り消す形で、条文は不実告知があった契約は8日を過ぎても取り消せるにまとめました。
上限を計算しても、相手に払う能力が無ければ戻りません。旅行業の登録がある事業者なら、供託された金から弁済を受ける道があります。そこは留学エージェントから返金されないときにまとめました。
ここまでの計算は、その契約が特定継続的役務(途中でやめる権利が付く役務)にあたることを前提にしています。学習の管理を売るプログラムでは、そこから先に判断が残ります。英語コーチングに解約の権利は付くかにまとめました。
あっせんの契約には、この上限がそのまま使えるとは限らない
ISS留学ライフのような留学あっせん事業者の場合、レッスンを提供するのは現地の学校で、契約したエージェントではありません。役務提供事業者が誰かが変わるので、別表第四の三の項の上限をそのまま当てはめられるかどうかも、まず確かめることになります。あっせんの契約書のキャンセル料の割合は、どちらの契約かを見分けてからでないと49条2項の上限と比べられません。見分け方は留学エージェントは誰と契約するかにまとめました。
この記事で確かめたこと
- 原文から引用した文
- 6件
- 出典
- 4件(法令 2)
- 更新
引用が出典の原文と一致するかを、公開後も機械で照合しています。確かめ方は運営者情報にあります。