語学の出発点

不実告知があった契約は8日を過ぎても取り消せる

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2026/9/9公開

語学スクールの説明と契約書が食い違い、事実でない説明を信じて申し込んだ場合、8日を過ぎても取消しを検討できることがあります。2か月超・5万円超の語学の教授に当たるか、何を告げられたか、その説明が申込みの決め手だったかを分けて確認します。

クーリング・オフ(48条)

  • 契約したときに渡される契約書面を受け取った日から8日
  • 理由は要らない
  • 2か月超・5万円超の契約であることが前提

中途解約(49条)

  • 期間の制限は無い
  • 理由も要らない
  • 事業者が請求できる額の上限が政令にある

取消し(49条の2)

  • 44条に反する行為があった場合
  • 追認できる時から1年、契約から5年
  • 誤認して申し込んだという繋がりが要る

起点になる出来事が違う。日数を過ぎたことは、他の道まで閉じない

契約をやめる道が別々に置かれている(特商法48条・49条・49条の2)

クーリング・オフ、中途解約、事実でない説明による取消しは、起点と条件が違います。以下で条文と適用範囲を分けて読みます。

特定継続的役務提供は、語学なら2か月を超え5万円を超える契約など、法律が解約の権利を付けるものです。特定継続的役務は、成果が確実でないとされている役務を指します。

勧誘のときに禁じられていること

事業者は、契約を勧めるときも、解約を止めようとするときも、事実でないことを言ってはいけません。クーリング・オフや中途解約について事実と違う説明をすることも、ここに入ります。

根拠は特定商取引法44条1項です。

役務提供事業者又は販売業者は、特定継続的役務提供等契約の締結について勧誘をするに際し、又は特定継続的役務提供等契約の解除を妨げるため、次の事項につき、不実のことを告げる行為をしてはならない。

「次の事項」として号が並びます。役務の種類と内容、必要な商品、対価、支払の時期と方法、提供期間、解除に関する事項、契約を必要とする事情、そして判断に影響を及ぼす重要なもの。

44条1項のうち解除に関する事項の号は、括弧の中まで指しています。

当該特定継続的役務提供等契約の解除に関する事項(第四十八条第一項から第七項まで及び第四十九条第一項から第六項までの規定に関する事項を含む。)

括弧の中の48条がクーリング・オフ、49条が中途解約です。だから「この契約はクーリング・オフできません」と説明されたなら、特定継続的役務提供等契約の解除に関する事項について、事実でないことを告げたことになります。

黙っていたことが対象になるのは、一部の号だけ

わざと黙っていたこと(故意に事実を告げないこと)が禁じられるのは、1項の号のうち一号から六号までです。契約を必要とする事情の号と、判断に影響を及ぼす重要なものの号は外れます。

特定商取引法44条2項の文言です。

役務提供事業者又は販売業者は、特定継続的役務提供等契約の締結について勧誘をするに際し、前項第一号から第六号までに掲げる事項につき、故意に事実を告げない行為をしてはならない。

読むところは「前項第一号から第六号までに掲げる事項につき」です。1項は号を最後まで並べているのに、2項はその手前で切っています。

判断に影響を及ぼす重要なものについて嘘を言えば1項に当たりますが、黙っていただけでは2項に当たりません。あとで見るとおり、取り消せるかどうかはこの差でも分かれます。

不実のことを告げる行為(1項)

  • 役務の種類と内容から、判断に影響を及ぼす重要なものまで
  • 解除に関する事項も入る
  • 勧誘のときだけでなく、解除を妨げるためにした場合も禁じられる

故意に事実を告げない行為(2項)

  • 一号から六号までに限られる
  • 契約を必要とする事情の号は外れる
  • 判断に影響を及ぼす重要なものの号も外れる

嘘を言うことは号の全部が対象で、黙っていることは前のほうの号だけが対象

44条1項と2項で、対象になる号の範囲が違う(特商法44条)

取り消せると書いてあるのは49条の2

嘘を言われ、それを信じて申し込んだ契約は取り消せます。嘘があっただけでは足りず、その嘘を信じて申し込んだという繋がりが要ります。

取消しを認めているのは特定商取引法49条の2第1項です。

特定商取引法49条の2第1項を開く

特定継続的役務提供受領者等は、役務提供事業者又は販売業者が特定継続的役務提供等契約の締結について勧誘をするに際し次の各号に掲げる行為をしたことにより、当該各号に定める誤認をし、それによつて当該特定継続的役務提供等契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。

条件が重なっています。44条に反する行為があったこと、それによって誤認したこと、その誤認によって申し込んだこと。

だから、聞いた内容が申し込みの決め手だったかどうかが見られます。「どうせ申し込んでいた」と言えてしまう説明では、この条文には届きません。

数える期間は8日ではない

取り消せるのは、嘘だと気づいて自由に判断できるようになった時から1年です。それとは別に、契約したときから5年という上限があります。

49条の2第2項が、訪問販売の取消しの規定(9条の3第2項から第5項)を持ってきています。期間を決めているのは、そのうち特定商取引法9条の3第4項です。

第一項の規定による取消権は、追認をすることができる時から一年間行わないときは、時効によつて消滅する。当該売買契約又は当該役務提供契約の締結の時から五年を経過したときも、同様とする。

条文の「追認をすることができる時」が、嘘だと気づいて自由に判断できるようになった時にあたります。

渡航してから嘘に気づく、という順番になりやすいジャンルなので、ここは覚えておく値になります。帰国してからでも、期間の中にいることがあります。

取り消したときに返すもの

取り消せる契約だと知らないままレッスンを受けていた場合、返すのは手元に残っている利益までです。

同じく準用される特定商取引法9条の3第5項が、返す範囲を決めています。

特定商取引法9条の3第5項を開く

民法第百二十一条の二第一項の規定にかかわらず、訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約に基づく債務の履行として給付を受けた申込者等は、第一項の規定により当該売買契約若しくは当該役務提供契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消した場合において、給付を受けた当時その意思表示が取り消すことができるものであることを知らなかつたときは、当該売買契約又は当該役務提供契約によつて現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。

中途解約では、特定継続的役務ごとに政令が上限額を決めていて、その額が差し引かれます。取消しにはその計算が出てきません。同じ「やめる」でも、戻る金額の決まり方が違います。中途解約のほうの上限額は語学スクールの中途解約と返金の上限にまとめました。

この章ごと外れる場合がある

44条も49条の2も、特定継続的役務提供の章の中にあります。だから章ごと外れる場合には、どちらも届きません。

外れるのは2つの向きからです。1つは契約の中身で、2か月を超え5万円を超える線に届かなければ特定継続的役務提供等契約になりません。線の数え方は英会話の解約は2か月と5万円で決まるに書きました。

もう1つは契約したときにどこにいたかで、特商法50条が本邦外に在る者への提供を適用除外にしています。渡航してから現地で契約すると、この章の規定が当たりません。そちらは語学留学に特定商取引法は当たるかに分けてあります。

章が外れても、消費者契約法のほうは残る

章が外れても、消費者契約法は別に当たります。語学学校との契約は消費者契約でもあるからです。2か月に届かない契約でも、現地で契約した場合でも、ここは残ります。

嘘を告げられて誤認し、申し込んだ場合の取消しは、消費者契約法4条1項1号に置かれています。

重要事項について事実と異なることを告げること。

特商法44条1項が事項を号で列挙しているのに対して、こちらは「重要事項」とだけ書いています。どちらも、勧誘のときに事実と違うことを告げられて申し込んだ場合を扱っています。

期間は消費者契約法7条1項にあり、追認をすることができる時から1年、契約したときから5年です。上で見た特商法9条の3第4項と同じ並びです。

特商法の章が当たるときは、書面の交付やクーリング・オフが付くぶん手数が少なくて済みます。当たらないと分かったときに、次に見るのがこちらになります。

根拠を出せないと、告げたものとみなされる

行政から根拠の資料を求められて出さない事業者は、不実のことを告げたものとみなされます。ただし、みなされるのは行政の処分の場面だけで、読者が49条の2で取り消すときにそのまま使えるわけではありません。

取消しは読者が自分で使うものですが、行政の側の道として特定商取引法44条の2があります。

特定商取引法44条の2を開く

主務大臣は、前条第一項第一号又は第二号に掲げる事項につき不実のことを告げる行為をしたか否かを判断するため必要があると認めるときは、当該役務提供事業者又は当該販売業者に対し、期間を定めて、当該告げた事項の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。この場合において、当該役務提供事業者又は当該販売業者が当該資料を提出しないときは、第四十六条第一項及び第四十七条第一項の規定の適用については、当該役務提供事業者又は当該販売業者は、前条第一項第一号又は第二号に掲げる事項につき不実のことを告げる行為をしたものとみなす。

嘘だったことを行政の側が証明するのではなく、根拠を出せないほうが不利になります。「みなす」が効くのは46条1項(指示)と47条1項(業務の停止)の適用についてだけです。

同じ形の規定が広告の側にもあります。43条の2が、誇大広告に当たるかを判断するために資料の提出を求められるとしていて、提出しないときの扱いも同じです。

だから「◯か月で話せるようになる」と言い切る事業者に、その根拠を聞くことには意味があります。答えられないこと自体が、この条文が想定している状態です。

何を残しておくか

取消しは、言われた内容と、それを信じて申し込んだ流れを示すことになります。だから残しておくものが決まります。

  1. 勧誘のときに受け取った案内・見積書と、そこに書かれていた金額
  2. 説明を受けた日付と、そのときのやり取り。メールとメッセージはそのまま残す
  3. 概要書面と、契約したときに渡される契約書面の記載のうち、説明と食い違っている箇所

3つ目は、概要書面は申し込む前に渡されるに何が書かれているはずかを並べてあるので、手元の書面と突き合わせられます。書面が渡されていないこと自体も、42条1項・2項に反している状態です。

契約でもめたときの相談先は、消費者ホットライン 188 です。最寄りの消費生活センターにつながります。

この記事で確かめたこと

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