留学と語学を確かめる

本サイトはアフィリエイト広告(PR)を利用しています。

不実告知があった契約は8日を過ぎても取り消せる

公開

説明されていた話と、契約書に書いてあることが違う。語学スクールや留学の申し込みで、支払いを終えたあとにそれに気づくことがあります。

8日という数字だけを覚えていると、そこで手が止まります。特定商取引法には、嘘を言われて申し込んだときのための条文が別に置かれています。

その条文があるのは、期間と金額の線を超えた契約、つまり特定継続的役務提供の章です。語学の教授でこの章に入るのは2か月を超え5万円を超える契約で、特定継続的役務というのは、成果が確実でないとされている役務のことです。

勧誘のときに禁じられていること

特定商取引法44条1項は、勧誘の場面と、解除を妨げる場面の両方について、事実でないことを告げる行為を禁じています。

役務提供事業者又は販売業者は、特定継続的役務提供等契約の締結について勧誘をするに際し、又は特定継続的役務提供等契約の解除を妨げるため、次の事項につき、不実のことを告げる行為をしてはならない。

「次の事項」として号が並びます。役務の種類と内容、必要な商品、対価、支払の時期と方法、提供期間、解除に関する事項、契約を必要とする事情、そして判断に影響を及ぼす重要なもの。

このうち解除に関する事項の号は、括弧の中まで指しています。

当該特定継続的役務提供等契約の解除に関する事項(第四十八条第一項から第七項まで及び第四十九条第一項から第六項までの規定に関する事項を含む。)

括弧の中の48条がクーリング・オフ、49条が中途解約です。だから「この契約はクーリング・オフできません」と説明されたなら、特定継続的役務提供等契約の解除に関する事項について、事実でないことを告げたことになります。

黙っていたことが対象になるのは、一部の号だけ

44条2項は、告げないほうを禁じています。ここで範囲が変わります。

役務提供事業者又は販売業者は、特定継続的役務提供等契約の締結について勧誘をするに際し、前項第一号から第六号までに掲げる事項につき、故意に事実を告げない行為をしてはならない。

読むところは「前項第一号から第六号までに掲げる事項につき」です。1項は号を最後まで並べているのに、2項はその手前で切っています。

切られた側に残るのが、契約を必要とする事情の号と、判断に影響を及ぼす重要なものの号です。後者はこう置かれています。

前各号に掲げるもののほか、当該特定継続的役務提供等契約に関する事項であつて、顧客又は特定継続的役務の提供を受ける者若しくは特定継続的役務の提供を受ける権利の購入者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの

この号について嘘を言えば1項に当たりますが、黙っていただけでは2項に当たりません。あとで見るとおり、取り消せるかどうかはこの差でも分かれます。

不実のことを告げる行為(1項)

  • 役務の種類と内容から、判断に影響を及ぼす重要なものまで
  • 解除に関する事項も入る
  • 勧誘のときだけでなく、解除を妨げるためにした場合も禁じられる

故意に事実を告げない行為(2項)

  • 一号から六号までに限られる
  • 契約を必要とする事情の号は外れる
  • 判断に影響を及ぼす重要なものの号も外れる

嘘を言うことは号の全部が対象で、黙っていることは前のほうの号だけが対象

44条1項と2項で、対象になる号の範囲が違う(特商法44条)

取り消せると書いてあるのは49条の2

特定商取引法49条の2第1項が、取消しを認めています。

特定継続的役務提供受領者等は、役務提供事業者又は販売業者が特定継続的役務提供等契約の締結について勧誘をするに際し次の各号に掲げる行為をしたことにより、当該各号に定める誤認をし、それによつて当該特定継続的役務提供等契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。

条件が重なっています。44条に反する行為があったこと、それによって誤認したこと、その誤認によって申し込んだこと。嘘があっただけでは足りず、その嘘を信じて申し込んだという繋がりが要ります。

だから、聞いた内容が申し込みの決め手だったかどうかが見られます。「どうせ申し込んでいた」と言えてしまう説明では、この条文には届きません。

数える期間は8日ではない

49条の2第2項が、訪問販売の規定を持ってきています。

第九条の三第二項から第五項までの規定は、前項の規定による特定継続的役務提供等契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しについて準用する。

準用される特定商取引法9条の3第4項が、期間を決めています。

第一項の規定による取消権は、追認をすることができる時から一年間行わないときは、時効によつて消滅する。当該売買契約又は当該役務提供契約の締結の時から五年を経過したときも、同様とする。

追認をすることができる時、つまり嘘だと気づいて自由に判断できるようになった時から1年です。それとは別に、契約したときから5年という上限が置かれています。

渡航してから嘘に気づく、という順番になりやすいジャンルなので、ここは覚えておく値になります。帰国してからでも、期間の中にいることがあります。

クーリング・オフ(48条)

  • 契約したときに渡される契約書面を受け取った日から8日
  • 理由は要らない
  • 2か月超・5万円超の契約であることが前提

中途解約(49条)

  • 期間の制限は無い
  • 理由も要らない
  • 事業者が請求できる額の上限が政令にある

取消し(49条の2)

  • 44条に反する行為があった場合
  • 追認できる時から1年、契約から5年
  • 誤認して申し込んだという繋がりが要る

起点になる出来事が違う。日数を過ぎたことは、他の道まで閉じない

契約をやめる道が別々に置かれている(特商法48条・49条・49条の2)

取り消したときに返すもの

同じく準用される特定商取引法9条の3第5項が、返す範囲を決めています。

民法第百二十一条の二第一項の規定にかかわらず、訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約に基づく債務の履行として給付を受けた申込者等は、第一項の規定により当該売買契約若しくは当該役務提供契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消した場合において、給付を受けた当時その意思表示が取り消すことができるものであることを知らなかつたときは、当該売買契約又は当該役務提供契約によつて現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。

「現に利益を受けている限度において」という言い方が置かれています。取り消せる契約だと知らないままレッスンを受けていた場合、返すのは手元に残っている利益までです。

中途解約では、特定継続的役務ごとに政令が上限額を決めていて、その額が差し引かれます。取消しにはその計算が出てきません。同じ「やめる」でも、戻る金額の決まり方が違います。中途解約のほうの上限額は語学スクールの中途解約と返金の上限にまとめました。

この章ごと外れる場合がある

44条も49条の2も、特定継続的役務提供の章の中にあります。だから章ごと外れる場合には、どちらも届きません。

外れるのは2つの向きからです。1つは契約の中身で、2か月を超え5万円を超える線に届かなければ特定継続的役務提供等契約になりません。線の数え方は英会話の解約は2か月と5万円で決まるに書きました。

もう1つは契約したときにどこにいたかで、特商法50条が本邦外に在る者への提供を適用除外にしています。渡航してから現地で契約すると、この章の規定が当たりません。そちらは語学留学に特定商取引法は当たるかに分けてあります。

根拠を出せないと、告げたものとみなされる

取消しは読者が自分で使うものですが、行政の側にも別の道が置かれています。44条の2です。

主務大臣は、前条第一項第一号又は第二号に掲げる事項につき不実のことを告げる行為をしたか否かを判断するため必要があると認めるときは、当該役務提供事業者又は当該販売業者に対し、期間を定めて、当該告げた事項の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。この場合において、当該役務提供事業者又は当該販売業者が当該資料を提出しないときは、第四十六条第一項及び第四十七条第一項の規定の適用については、当該役務提供事業者又は当該販売業者は、前条第一項第一号又は第二号に掲げる事項につき不実のことを告げる行為をしたものとみなす。

読むところは後半です。資料を提出しないときは、不実のことを告げる行為をしたものとみなすと書かれています。嘘だったことを行政の側が証明するのではなく、根拠を出せないほうが不利になるという組み立てです。

ただし「みなす」が効く範囲は限られています。46条1項(指示)と47条1項(業務の停止)の適用についてなので、読者が49条の2で取り消すときにそのまま使えるわけではありません。

同じ形の規定が広告の側にもあります。43条の2が、誇大広告に当たるかを判断するために資料の提出を求められるとしていて、提出しないときの扱いも同じです。

だから「◯か月で話せるようになる」と言い切る事業者に、その根拠を聞くことには意味があります。答えられないこと自体が、この条文が想定している状態です。

何を残しておくか

取消しは、言われた内容と、それを信じて申し込んだ流れを示すことになります。だから残しておくものが決まります。

  1. 勧誘のときに受け取った案内・見積書と、そこに書かれていた金額
  2. 説明を受けた日付と、そのときのやり取り。メールとメッセージはそのまま残す
  3. 概要書面と、契約したときに渡される契約書面の記載のうち、説明と食い違っている箇所

3つ目は、概要書面は申し込む前に渡されるに何が書かれているはずかを並べてあるので、手元の書面と突き合わせられます。書面が渡されていないこと自体も、41条と42条に反している状態です。

契約でもめたときの相談先は、消費者ホットライン 188 です。最寄りの消費生活センターにつながります。

まとめ

  • 44条1項は勧誘と、解除を妨げる場面での不実告知を禁じている
  • 44条2項の故意の不告知は一号から六号までに限られ、判断に影響を及ぼす重要なものの号は外れる
  • 49条の2は、44条に反する行為で誤認して申し込んだ契約の取消しを認めている
  • 数える期間は、追認できる時から1年と、契約したときから5年
  • 取り消したときに返すのは、現に利益を受けている限度
  • 44条の2は、根拠の資料を出せないときに不実告知をしたものとみなす(46条1項・47条1項の適用について)

出典