高校生の留学は18歳の前後で契約が変わる
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高校生の留学契約は、申し込む時点で18歳に達しているかで保護者の同意の要否が変わります。学年や渡航日の年齢では決まりません。未成年なら、参加への同意に加えて、現地での医療判断と費用負担をどこまで引き受けるかも書面で確認してください。
民法4条と5条を、申し込み時の年齢で図に分けました。
申し込む本人の年齢十八歳
十八歳に満たない
5条1項により法定代理人の同意が要る。同意が無ければ2項で取り消すことができる
十八歳以上
4条により成年。同意は要らず、5条2項の取消しも使えない
未成年のあいだは、同意が要る
十八歳未満の本人が留学に申し込むには、保護者(法定代理人)の同意が要ります。同意を得ずに結んだ契約は、あとから取り消せます。
根拠は民法5条1項です。
未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
ただし書きは「単に権利を得、又は義務を免れる」場合です。留学の申し込みは代金を払う義務を負うので、ここには入りません。
同意を得ないとどうなるかは、同じ条の2項にあります。
前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
高校2年生の3月に申し込むのと、3年生の誕生日のあとに申し込むのでは、条文の当たり方が違います。渡航する時期ではなく、申し込んだ時点の年齢で決まります。
取り消すと、初めから無効になる
取り消した契約は初めから無効だったことになり、未成年者の側は手元に残っている分を返せば足ります。
121条です。
取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。
そして返す額には特別な規定があります。121条の2第3項の後段が、行為の時に制限行為能力者だった者について、現に利益を受けている限度で返還すればよいとしています。
つまり払った額が戻るかどうかと、受けた分をいくら返すかは別々に決まります。未成年者の側は、手元に残っていない分まで返す義務を負いません。
取り消せる期間には制限があり、追認できる時から五年、行為の時から二十年で時効により消えます(126条)。
渡してあるお金で払った分は、扱いが違う
使い道を決めて渡したお金は、その範囲なら本人が自由に使えます。ただし留学の契約そのものは、同意の話です。
5条3項が、同意とは別の道を置いています。
第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。
留学でいうと、渡航先での滞在費として渡した分と、契約そのものの代金を払う場面は別に見ることになります。前者は3項の範囲に入りうるのに対し、契約の申し込みは1項の同意の話です。金額の大きさではなく、渡すときに何を許したかで分かれます。
だから「お金は親が出しているから同意があったはずだ」とは言えません。生活費として渡した分を本人が契約の頭金に使ったなら、その契約への同意があったことにはなりません。
年齢を偽ると、取消しが使えなくなる
申込書の年齢を偽って申し込むと、同意が無くても取消しが使えなくなります。ここが実務でいちばん効きます。
民法21条です。
制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。
年齢欄に本当と違うことを書くと、5条2項の取消しが使えません。急いで申し込むために生年月日を動かすと、いちばん強い権利を自分から手放すことになります。
事業者の側にも動く手がある
事業者は、成年になった本人に追認するかの返事を求められます。期間内に返事をしないと、追認したことになります。
20条1項の催告の規定です。
20条1項を開く
制限行為能力者の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者(行為能力の制限を受けない者をいう。以下同じ。)となった後、その者に対し、一箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
後半に「確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす」とあります。黙っていると追認したことになるので、催告の書面が来たら期間内に返事をすることになります。催告できるのは本人が成年になったあとで、それまでは法定代理人が相手になります(20条2項)。
どの状態かそのとき使えるもの
未成年で、同意を得ずに申し込んだ
5条2項の取消し
取り消すと121条により初めから無効になる
年齢を偽って申し込んだ
取消しは使えない
21条。詐術を用いたときの規定
事業者から催告が届いた
期間内に確答する
20条1項。一箇月以上の期間が定められ、確答しないと追認とみなされる
特定継続的役務の線とは別に立っている
ここまでは民法の話で、特定商取引法の中途解約とは別に効きます。特定継続的役務は、途中でやめる権利が付く、法律が指定した7つの役務で、語学の教授も入っています。語学の教授の契約に解約の権利が付くのは2か月を超え、かつ5万円を超えるときで、そこは英会話の解約は2か月と5万円で決まるにあります。
2つの線は独立しています。期間や金額が足りずに特定継続的役務にならない契約でも、未成年が同意なく申し込んだのなら5条2項は使えます。逆もあります。
契約の相手が日本の事業者なのか現地の学校なのかも、先に分けることになります。留学エージェントは誰と契約するかに書きました。
事業者が、保護者に何を求めているか
事業者が保護者に何を求めているかは、公表されていることがあります。U-GAKU は未成年参加ポリシーというページを持っていて、そこに保護者が引き受けることが並んでいます。金額の話だけではありません。
緊急時に保護者と即座に連絡が取れない場合に限り、運営側が保護者に代わって医師の診断に基づく応急処置や医療判断に同意する権限を有することを承諾するものとします。
保護者が同意するのは、参加そのものだけではないということです。現地で医療の判断が要る場面に、その場にいない保護者の代わりに誰が決めるのかが決めてあります。
費用のほうも書かれています。
強制帰国に伴う交通費等の諸経費はすべて保護者負担とし、残り期間の参加費用の返金は行わないものとします。
同じページには、中途解約のキャンセル料が日数で段階に分けて書かれています。留学開始日からさかのぼって90日・60日・45日が境目になっていて、45日前を過ぎると総額になります。
ここまで読んでから同意するかを決めることになります。民法5条2項の取消しは、同意なく結んだ契約に効くものです。保護者が同意して結んだ契約には効きません。だから同意する前に、何に同意するのかを読むほうが先です。
公表していない事業者もあります。書いていない場合は、申し込みの前に書面で出してもらうことになります。口頭で聞いた内容は、現地で問題が起きたときに残りません。
中高生向けに設計されているかで、確かめる中身が変わる
U-GAKU は沖縄・北海道・セブ島・マルタの複数拠点を持つ一般向けのプログラムで、未成年参加ポリシーは大人向けのコースと同じ契約に付け足す形で置かれています。
Cebu Way English は、セブ島で中高生向けの短期留学だけを運営しています。日本人スタッフが常駐する直営校とホームステイの形を取っていて、対象年齢を最初から中高生に絞った設計です。
未成年が主な対象として設計されているプログラムか、一般向けのプログラムに未成年の枠を付け足したものかで、確かめる順序が変わります。前者ではポリシーが年齢に合わせて作られているはずなので、まず引率や現地スタッフの体制から読みます。後者では、上で見た保護者の同意と医療判断の権限の項目を先に確かめることになります。
申し込む前に決めておくこと
- 申し込む時点で本人が十八歳に達しているかどうか
- 達していないなら、契約書の名義を保護者にするのか、同意を書面で残すのか
- 支払いを誰の口座から出すのか
- 未成年の申し込みについて、事業者が何を求めているか
2番目は口約束にしない。同意があったかどうかが後から争いになるところなので、書面かメールで残る形にしておきます。
滞在が三月以上になるなら、届出と保険の判断も並行して要ります。留学中の保険と住民票をどうするかにまとめました。費用の分け方は留学の費用は誰に払うかで分かれるにあります。
契約でもめたときの相談先は、消費者ホットライン 188 です。最寄りの消費生活センターにつながります。
この記事で確かめたこと
- 原文から引用した文
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- 出典
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