ワーキングホリデーの枠は国で違う
ワーキングホリデーは、行き先を選ぶ前に決まっていることがあります。
枠の数と、参加できる回数です。どちらも国ごとに違い、外務省が一覧で公表しています。
制度の中身は「付随的な就労」
外務省のページはこう定義しています。
ワーキング・ホリデー制度とは、二国・地域間の取決め等に基づき、各々の国・地域が、相手国・地域の青少年に対し、休暇目的の入国及び滞在期間中における旅行・滞在資金を補うための付随的な就労を認める制度です。
読むべきは「休暇目的の入国」と「付随的な就労」です。働きに行く制度ではなく、休暇で滞在するあいだの資金を補う就労が認められる、という順序になっています。
就労の中身と時間の上限は、国ごとに取決めが違います。だから「ワーホリなら自由に働ける」とは、この定義から出てきません。
年間発給枠は「無」と数字に分かれる
日本は令和8年4月1日現在で32の国・地域と制度を導入しています。枠の欄は国によって大きく違います。
行き先の国・地域年間発給枠
- オーストラリア/ニュージーランド/ドイツ/デンマーク ほか無枠の上限が設けられていない。時期で締め切られる心配が小さい
- 韓国/台湾10,000どちらも制度開始が1999年と2009年。枠が大きい
- カナダ6,283枠が数字で決まっているので、募集の時期を外すと翌年になる
- 英国6,000ユース・モビリティ・スキームという名前で、最長2年間の滞在が認められている
- アイスランド30いちばん小さい。行けるかどうかが枠で決まる
枠が「無」の国と、30人の国が同じ一覧に並んでいます。行き先を費用や語学環境だけで選ぶと、枠の側で弾かれることがあります。
一生涯に何回行けるかも国で違う
2025年から2026年にかけて、取決めが改訂されています。
日本人の方は、カナダ、スロバキア、韓国及び台湾で一生涯2回の参加が可能となりました。
ここに名前が出ていない国は、原則として一生涯1回のままです。「ワーホリは一生に一度」と一括りにすると、この4か国で1回ぶん損をします。
年齢の上限は、全部が30歳ではない
発給要件の欄に年齢が書かれています。
査証申請時の年齢が18歳以上30歳以下であること(オーストラリア、カナダ、韓国及びアイルランドとの間では18歳以上25歳以下ですが、各々の政府当局が認める場合は30歳以下まで申請可能です。)。
括弧の中を読み飛ばすと、上限が30歳だけに見えます。実際にはオーストラリア、カナダ、韓国、アイルランドは18歳以上25歳以下が本文の側で、30歳以下まで申請できるのは各々の政府当局が認める場合です。
行き先がこの4つのどれかで、いま26歳から30歳なら、そこが最初に確かめるところになります。数えるのは査証を申請する時点の年齢で、渡航する時点ではありません。
下の側の十八歳にも別の線があります。申し込む本人が未成年なら、契約そのものに民法5条が掛かります。高校生の留学は18歳の前後で契約が変わるにまとめました。
同じ欄には、年齢以外の要件も並んでいます。子又は被扶養者を同伴しないこと、有効な旅券と帰りの航空券等(又は航空券等を購入するための資金)を所持すること、滞在の当初の期間に生計を維持するために必要な資金を所持すること、健康であることです。そして最後の1つが回数に関わります。
以前にワーキング・ホリデー・査証を発給されたことがないこと(一部の国・地域を除く(注2))。
括弧の中の「一部の国・地域」が、上で見たカナダ・スロバキア・韓国・台湾です。除かれている国を先に確かめないと、この要件だけを読んで諦めることになります。年齢の条件も国ごとに違うので、外務省の一覧で国名を確かめたあと、その国の駐日大使館か総領事館のページに進みます。外務省のページも「それぞれの国の駐日外国公館等のウェブサイトに掲載されている情報」を見るよう書いています。
外務省と提携している民間団体は無い
同じページの最後に、こう書かれています。
現在、ワーキング・ホリデー制度の実施に際して、外務省が連携・協力している民間団体はありません。
「外務省提携」「政府認定」をうたうエージェントがあれば、この一文と食い違います。制度そのものに、民間団体が関与する枠組みが用意されていないということです。
申請の手続きについても、注意喚起が出ています。
ワーキング・ホリデー・査証の申請代行をうたう業者による書類の不適正処理に関するトラブルが報じられています。
続けて、申請代行業者を通す場合でも書類の準備と作成を任せきりにしないこと、政府機関や駐日大使館が出している情報を自分で入手することが書かれています。
代行を使うなという話ではなく、任せきりにするなという話です。エージェントに何をどこまで頼むかは、留学エージェントは誰と契約するかで分けて書きました。
このサイトが載せているウィッシュインターナショナルは、会社概要に「観光庁長官登録旅行業 第1361号」を出しています。これは旅行業の登録であって、ワーキングホリデー制度についての認定ではありません。上の一文のとおり、制度の側に民間団体を認定する枠組みがありません。だから登録番号があることと、制度に関与していることは別です。
登録があるかどうかは、頼む相手が旅行業法の義務を負っているかを見る材料にはなります。契約する前の説明と、契約したあとの書面がそこに置かれています。
就ける職と、同じ雇用主で働ける期間にも制限がある
外務省は就労についてこう書いています。
日本人の方は、当該相手国・地域によって就業職種、同一雇用主の下での雇用期間等につき制限される場合がありますので、詳細は駐日外国公館等へお問合せください。
「同一雇用主の下での雇用期間」が出てくるところが実務上は大きく、1年の滞在でも、1つの職場で通して働けるとは限りません。同じページには、不当に安い賃金で働かされたという情報が寄せられていることと、現地の労働法規を前もって調べるよう勧める注記も付いています。
つまり滞在中の収入は、行き先の労働法規で決まります。渡航前に読むのは現地の政府機関の情報で、エージェントの説明ではありません。
3か月以上いるなら、在留届を出す義務がある
これは日本の法律の側の話です。
日本人の方は、外国に住所又は居所を定めて3か月以上滞在する場合、旅券法第16条により、住所又は居所を管轄する日本国大使館又は総領事館(在外公館)に「在留届」を提出する義務があります。
旅券法16条による義務なので、任意の登録ではありません。ワーキングホリデーはたいてい3か月を超えるので、ほぼ全員が対象になります。提出はインターネットでできると案内されています。
申し込む前に確かめること
- その国の年間発給枠が「無」か数字か。数字なら募集の時期がある
- 一生涯に何回行けるか。カナダ・スロバキア・韓国・台湾は2回
- 年齢の上限。国ごとに違うので駐日公館のページで見る
- エージェントに払う費用のうち、査証の申請代行がいくらか
4つ目は、エージェントの見積書で分けて聞きます。査証の申請そのものは自分で駐日公館に対して行うので、代行費用は「やってもらう手間」の代金です。金額の妥当性はそこで判断できます。外務省は代行を使う場合の注意喚起も出していて、そこはワーキングホリデーのビザ代行に任せきりにしないにまとめました。
滞在中に語学学校へ通う契約を日本で結ぶ場合は、英会話の解約は2か月と5万円で決まるの線が当たるかを見ます。現地の学校と直接契約するなら、その線は当たりません。
まとめ
- 制度の定義は「休暇目的の入国」と「付随的な就労」。働きに行く制度ではない
- 年間発給枠は国ごとに違い、「無」の国からアイスランドの30人まで幅がある
- 一生涯2回行けるのはカナダ・スロバキア・韓国・台湾(日本人の場合)
- 外務省が連携・協力している民間団体は無い。「外務省提携」は成り立たない
- 申請代行を使う場合も、書類の準備と作成を任せきりにしないよう注意喚起が出ている