留学中のパスポート紛失は在外公館へ届ける
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留学先でパスポートをなくしたら、滞在地を管轄する日本大使館・総領事館へ連絡します。 紛失を届け出たうえで、急いで帰国するなら「帰国のための渡航書」、滞在を続けるなら通常の旅券について相談します。
急いで日本へ帰る
- 紛失の届出後、帰国のための渡航書を相談
- 有効期間と帰国の経由地を確認
留学先での滞在を続ける
- 紛失の届出後、通常の旅券の申請を相談
- 次に国境を越える予定を伝える
届出だけで帰国用の書類が自動発給されるわけではありません。
まず身の回りを探し、見つからないと分かったら次の順で動きます。届出をした旅券は後で見つかっても使えません。
- 滞在地を管轄する日本大使館・総領事館へ連絡し、紛失の届出に必要なものを聞く
- 帰国を急ぐか、留学を続けるかを伝え、申請する書類を確認する
- 発給された書類の有効期間や帰国経路、次の渡航に使えるかを確かめる
以下で、届出・帰国時の書類・再申請の根拠を確認します。
まず、現地の領事官に届け出る義務がある
国外でパスポートをなくしたら、滞在先の日本大使館・総領事館(領事官)に、遅れずに届け出ます。日本国内でなくした場合とは届け先が違います。
届出の義務は旅券法17条1項にあります。
旅券法17条1項を開く
一般旅券の名義人は、当該一般旅券を紛失し、又は焼失した場合には、外務省令で定めるところにより、遅滞なく、国内においては都道府県知事を経由して外務大臣に対し、国外においては領事官に対し、その旨を届け出なければならない。
国内での紛失は都道府県知事を経由して外務大臣に届けますが、国外では領事官です。「遅滞なく」とあるので、気づいた時点で早めに動くことになります。届け出ないままにしておくと、そのパスポートが第三者に悪用された場合の説明が難しくなります。
旅券が無くても、国籍を証明する文書で帰国できる
パスポートを失くしたからといって、帰国そのものができなくなるわけではありません。有効な旅券を持てないときは、日本国籍を証明する文書でもよいとされています。
帰国の条件は、出入国管理及び難民認定法61条にあります。
難民認定法61条を開く
本邦外の地域から本邦に帰国する日本人(乗員を除く。)は、有効な旅券(有効な旅券を所持することができないときは、日本の国籍を有することを証する文書)を所持し、その者が上陸する出入国港において、法務省令で定める手続により、入国審査官から帰国の確認を受けなければならない。
原則は有効な旅券です。ただし括弧書きに逃げ道があり、「有効な旅券を所持することができないとき」は、日本国籍を証明する文書でもよいとされています。
その文書にあたるのが「帰国のための渡航書」
括弧書きの「日本の国籍を有することを証する文書」にあたるのが、帰国のための渡航書です。すぐに帰国したいのに、旅券の発給を待つ時間が無い人のための書類です。
渡航書を発給できるとしているのは旅券法19条の3です。
旅券法19条の3を開く
外務大臣又は領事官は、外国にある日本国民のうち次の各号のいずれかに該当する者で本邦に帰国することを希望するものに対し、その者の申請に基づいて、必要があると認める場合には、旅券に代えて渡航書を発給することができる。
19条の3第1項が並べる対象者のうち、1号がまさにこの場面です。
旅券を所持しない者であつて緊急に帰国する必要があり、かつ、旅券の発給を受けるいとまがないもの
渡航書の申請も、領事官に対して行う
渡航書の申請も、紛失の届出と同じく現地の領事官が窓口です。申請書などの書類と写真を出します。
申請の手続きは旅券法19条の3第2項にあります。
渡航書の発給を受けようとする者は、渡航書発給申請書その他外務省令で定める書類及び写真を領事官に提出して、渡航書の発給を申請するものとする。
紛失の届出(17条)も渡航書の申請(19条の3)も同じ窓口なので、まず届け出て、続けて渡航書を申請するという流れになります。必要な書類と写真を用意しておくと手続きが早く進みます。
近くに領事館が無いときの手当ても、同じ19条の3第2項の後段にあります。
19条の3第2項を開く
その者の現住する地方に領事館が設置されていないときその他のその者が当該申請をすることができないやむを得ない事情があるときは、その者の親族その他外務省令で定める関係者が、外務大臣又は領事官に対して申請するものとする。
留学先が大都市から離れていて近くに領事館が無い場合も、日本にいる親族などが代わりに申請できる道が用意されています。自分ひとりで抱え込まず、日本の家族に連絡することも選択肢に入ります。
渡航書には制限が付くことがある
渡航書には、有効期間と帰国の経由地が指定されることがあります。旅券のように自由に渡航先を選べる書類ではなく、帰国のための一時的な書類です。
指定できるとしているのは旅券法19条の3第5項です。
外務大臣又は領事官は、第一項又は前項の規定に基づき渡航書を発給する場合には、渡航書の有効期間及び帰国の経由地を指定することができる。
指定された経由地以外に渡航すると、別の罰則規定に触れる可能性があるので、発給されたらその範囲で行動することになります。
届け出た旅券は、その時点で失効する
紛失を届け出た旅券は、その時点で効力を失います。あとで見つかっても、もう使えるパスポートには戻りません。
失効する場合を並べているのは旅券法18条1項で、届出はその7号です。
旅券法18条1項を開く
前条第一項又は第五項の規定による届出があつたとき(同条第三項、第四項又は第六項の規定による確認の結果、届け出られた旅券の紛失又は焼失の事実を確認することができず、その旨を届出者に通知するときを除く。)。
カバンの底から出てきたとしても、17条の届出をした以上は失効した旅券として扱われます。だから届け出る前に、本当に紛失したのか、もう一度身の回りを確認しておく価値があります。
急がないなら、通常の旅券を選ぶ道もある
渡航書はあくまで緊急時の代替手段です。19条の3の1号は「緊急に帰国する必要があり、かつ、旅券の発給を受けるいとまがないもの」を対象にしています。留学の期間がまだ残っていて、急いで帰国する必要が無いのであれば、渡航書ではなく通常の旅券を現地の領事館で申請し直すという選び方もあります。帰国後も海外へ出る予定があるなら、有効期間が限られる渡航書より、通常の旅券のほうが使い勝手はよくなります。どちらを選ぶかは、残りの滞在予定と、次にいつ国境を越える必要があるかで決めることになります。紛失していなくても、有効期間の残りや査証欄の余白によっては途中で切り替えられる場合があります。詳しくはパスポートの残存期間が減ったら途中でも切替できるにまとめました。
出発前に備えておくこと
在留届を出していれば、大使館・総領事館は滞在先を把握しています。3か月以上いるなら、在留届を出す義務があるを先に確認し、緊急時の連絡先を控えておくと手続きが早く進みます。
渡航前にできる備えとしては、パスポートの写真ページをコピーまたは写真で保存しておくことも有効です。氏名・旅券番号・発行日といった情報が手元にあると、紛失の届出や渡航書の申請をするときに、記憶だけに頼らずに済みます。
日頃の緊急連絡先を整える手続きは、留学の在留届とたびレジで確認できます。転居や帰国の際には登録した情報も見直してください。
この記事で確かめたこと
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